千心美生
誰かのために頑張ることが、自分を何倍にも強くする。
仕事をしていると思い通りにいかないことがよくあります。なにもかもが裏目に出て後手にまわってしまうこともよくあります。
そんなときは、よく空を見ます。こんな気持ちで空を見ている人は、この世の中にごまんといるのだろうなと思いながら。そうして、気をとりなおして取り組むことが日常のこととなっています。くじけそうになったことはありません。
最後まで可能性を探りながら粘り強く追い続けるか、違う選択をするかです。落ち込んだり、思い悩んで過ごすには、人生はあまりに短いのではないかと思うのです。失敗も後悔もたくさんあるけれど、それは次に生かす授業料。時々は「高くついたなぁ」と苦笑しながら積み重ねていくのが経験というものだと思います。
経験を積むごとに今まで気がつかなかったことが、わかるようになる。楽しかったことより、苦しかったことのほうが知恵としてあとからだんだん効いてくる。経験に無駄なことなどないのだなと感慨深く思います。
若い頃は、双眼鏡でみるようにひとつのことを拡大して追いかけていました。狭い視界のそこから見えるものが世界のすべてであるように思いつめて、自我と孤独の釣り合いもとれずに、迷いながら疑いながら、時には大きく頭をぶつけながら見えない道を歩いている感覚でした。
今から思うと、それは自分のことしか見てなかったのだと思います。人も自分と同じかけがえのない人生なのだと改めて気づいたとき、人は何をすべきなのかがわかるのではないでしょうか。
何をしたいのか、ということではなく、誰としたいのか。人生が彩られるのは、やり遂げたことはもとよりですが、その経過を誰と分かち合ってきたかということではないでしょうか。
誰かのために頑張る。
その力は、自分のためだけに頑張ることより何倍もの力になります。
今日も空を見て、明けない夜はないことを、そして誰かの顔を思い浮かべて、もうひと頑張りしようと思うのです。
代表取締役 千堂 純子